近年、私達の生活環境や医療(福祉・介護)環境等で、一昔前と違った目新しい病原体が次々と登場し、人や動物等に感染症や食中毒等を引き起こして、その生命や健康を脅かしています。
その代表的なものとして病原性大腸菌O157やレジオネラ属菌、ノロウィルス、SARSウィルス、高病原性鳥インフルエンザウィルス、AIDSウィルス(HIV)、C型肝炎ウィルス等による食中毒や感染症が挙げられます。さらにプリオンによる狂牛病(BSE)の発生や、クラミジアによる性感染症、ペット(犬・猫・小鳥等)や牛・豚・鶏等家禽類を介した動物由来感染症(人畜共通感染症)の発生等も問題になっています。
そのうち、食中毒は、ノロウィルスやロタウィルス等によるウィルス性の食中毒がよく発生するようになっています。そして、以前より強い毒性や薬剤耐性を持った新しい型の食中毒菌(O157などの大腸菌やサルモネラ、カンピロバクター等)が登場し、国内外で食中毒を発生し、しばしばアウトブレイクな集団発生を引き起こしています。
また、病院等の医療(療養)現場では、多剤耐性緑膿菌(MDRP)やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などの耐性菌が出現し、これらの耐性菌による院内(施設内)感染で死者が出ています。さらに過去の病気として忘れられていた結核等の感染症も再び発生するようになり、中高齢者層を中心に多く広がっています。
そして、前記クラミジアによる性感染症も、淋菌による感染症(淋病)とともに、近年、若者の間に広がり、患者が増加しています。
今、このような感染症や食中毒が、新興感染症や再興感染症とも称され、ここ数年、国内で入院(術後)患者等の易感染者や高齢者、幼児、小学生、若者等の間で発生し、新聞やテレビ等でしばしば報道されています。
また、上記感染症等の発生は国内だけでなく、国外でも大きな問題になっており、その発生(流行、蔓延)を防止するため、WHO等の国際的な協議、連携、協力の下で、行政と医療サイドから必要な対策が講じられています。