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●食事

【 食べやすい調理方法 】

お年寄りのそれぞれの機能能力に分けて食品の形態を変えます。ここでは、常食、一口大食、中間刻み食、極刻み食、とろみ食、ミキサー食に分けます

  • 常食…………普通の食事です。
  • 一口大食……一つの食材を一口で食べられる大きさにカットします。
  • 中間刻み食…フードカッターや包丁で、小刻みにします。
  • 極刻み食……フードカッターや包丁で、細みじん切りにします。
  • とろみ食……固形と水分を分けて経口摂取すると器官に入って誤嚥になってしまう人には、粘度をつけるためにとろみ剤を使ってあんかけのような状態にします。また、ゼラチンで緩やかに固めます。
  • ミキサー食…ミキサーで流動状にします。
食べやすい調理方法

それぞれの形態にする時の工夫としてフードカッターやミキサーに、だし汁を入れるとまわりやすくなります。

■肉
1.肉の選び方

赤身の多いものより、やや脂肪が含まれている方が柔かく仕上がります。しかし、あまりにも脂肪が多いと冷めた時に固まって硬くなるので、多すぎる時は少し取り除きましょう。

2.肉の調理
酢豚

酢豚の場合、ブロック肉で作ると、お年寄りはなかなか噛み砕くことができません。そこで、スライス肉で作るというのもひとつの手段です。しかし、お年寄りは同じ食卓で子供がブロック肉を食べているのに、自分だけがスライス肉というのは好みません。同様に、お年寄りの集まりの中でお隣はブロック肉を食べているのに、自分だけスライス肉というのも好みません。ではどうすればよいのでしょうか。

酢豚
  • スライス肉を一口大に切ります。
  • それをボールの中に入れ、しょうゆ、みりん、お酒で味付けをし、一日ねかせます。(当日でも可能)
  • ねかせたスライス肉を一口大の大きさ分ほどつかみ、片栗粉でかためて揚げます。

こうすると、ブロック肉のように見えます。しかし、食べてみると口の中で肉がばらけてとても食べやすくなります。また、パイナップルはたんぱく分解酵素を持っているので肉を柔かくします。一緒に調理するなど工夫してみてください。

■野菜
1.切り方・調理方法
野菜
  • アスパラ、いんげんなど、通常私達なら5p程度の長さにして調理しますが、お年寄りには3p程度の長さにします。
  • じゃがいもや、にんじんなどもなるべく小さく切ります。いも類は口の中でパサパサするので、小さく切るだけでなく汁気を多くしたり煮物にして水分を多くする必要があります。
  • さつまいもは皮を厚く剥くと、色も口あたりもよくなります。
  • ごぼう、れんこんなどは嚥下困難食といって比較的飲み込みにくい食材とされています。よって、通常適当だと思われる大きさよりも小さく切ります。そうすることによって口の中で噛み砕きやすくなるからです。ごぼうは斜めに薄切りにしたり、れんこんはすりおろし、団子にして煮たり、揚げて煮物や汁物に入れたりするとよいでしょう。
■魚
刺身
1.刺身の具財
なるべくイカ、タコなど噛み切りにくいものは避けるべきです。食べる場合は小さく(一口大)切ります。まぐろ、サーモンは、噛み切りやすいので好まれるでしょう。
2.魚の調理

煮魚は中間刻み食、極刻み食にするとパサパサするため、煮魚など崩して煮汁をかけて水分を魚に含ませます。しかし、誤嚥を引き起こす可能性のある嚥下困難者には適しません。そこで、煮汁をただかけるのではなく、崩した魚を鍋に入れて煮汁を加え、軟らかく煮なおします。そして片栗粉を入れて柔らかくし、とろみをつけた煮魚に仕上げます。

一度崩した魚は味が染み込みやすくなります。濃い味付けにならないよう、だし汁で調節するとよいでしょう。

■穀物
1.麺類の調理

市販の麺はお年寄りにとって長いので、常食の場合でも約半分に切ります。

ミキサー食の場合に麺をミキサーでまわすと、途中で水分がなくなりダマになってしまいます。そこでだし汁を入れるとまわしやすくなります。ダマが残ってしまった場合は、取り出してザルでこすとよいでしょう。しかし、ほとんどの麺がダマとなってザルに残るため、一人分に対して使用する麺は2玉が目安です。

2.パンの調理
パン粥

食パンは口の中の水分をとってしまうことから敬遠される傾向にあります。そこで、お鍋に牛乳を入れて食パンをちぎって入れ、火にかけてパン粥を作ります。食パンはなるべく小さくちぎって入れましょう。

フレンチトースト

食パンの耳をとって、牛乳にひたし、柔らかくし、フレンチトーストにします。牛乳を多くし、つけておく時間を長めにして、食パンによく牛乳をしみこませると中間刻み食や極刻み食の方もそのままの状態で食べやすくなります。盛り付ける時に、1/4か1/6の大きさに切って調理するとより食べやすくなります。

寿司
巻き寿司

中間刻み食、極刻み食の方はのりを口の中で噛み切ることが困難です。

そこで、玉子シート(錦糸玉子を作る時に作る薄い玉子生地)を作り、それで巻くと柔らかく仕上がります。具材も細かく切って中に入れると容易に噛み砕くことができます。また、ラップをしき青のりを散らし、その上に酢飯・具材をのせて巻くと、青のりを巻いた巻き寿司の完成です。

■卵
卵

卵はゆで卵にするとパサパサして喉につまりやすくなります。なるべくゆで卵は避け、水分を含むように調理します。スクランブルエッグ(炒り卵)にすると、食べやすくなります。

■その他
1.だし汁

中間刻み食や、極刻み食、ミキサー食の方にはだし汁を作りおきしておくと便利です。何か料理を作る時に多めに作っておいて、とっておきます。香りづけに使ったり、食べ物を細かく砕く時の水分にしたり様々な用途に使えます。ただし、食中毒を避けるために1日1回の作りおきで、朝昼晩の三食を対応するということのないようにしてください。

2.ゼラチン

ゼラチンは口の中で徐々に溶けていきます。少し溶けると喉に入りやすくなって食べることができます。例えば、お茶やジュースはそのまま飲むと誤嚥を起こしやすいため、お茶ゼリーや果汁ゼリー(食べやすい物)にすると飲み込みやすくなります。ゼラチンは、どの食材と混ぜても食材の持ち味を生かし、味の変化も少なく、取扱いも簡単です。咀嚼困難や嚥下困難な方の度合いに合わせて柔らかさを調節することができます。寒天は嚥下困難な方には適していません。寒天が溶ける温度はゼラチンよりも高く、もし誤嚥した場合、寒天はそのままの固体で残ってしまうので危険です。

3.増粘剤

食べ物に一定の粘度、固まりやすさを加えることによって、咀嚼困難や嚥下困難な方が食べやすくするために考えられたものです。汁気のあるものに混ぜるとあんかけのような状態(ゾル状態)になって、刻み食以降のばらつきやすい食べ物をまとめます。汁気がないものに関しては、だし汁を混ぜて食べ物の上にかけるとまとめる事ができます。

増粘剤は低温から高温まで使うことができます。例えば、果物の缶詰をフードプロセッサーにかけた場合でも増粘剤を入れることによってあんかけ状態(ゾル状態)にする事ができます。また、温かい煮物にも増粘剤をいれて食べやすくすることができ、その場ですぐに仕上げることもできます。

ただし、問題点としては増粘剤を入れすぎると、粘度が増えて口の中に付着しやすくなったり、食べ物の量が増えて食べられなくなるため注意が必要です。

とろみ名人