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●食事

【 栄養状態の把握 】

お年寄りは栄養状態が基礎疾患の治療経過や生命予後に大きな影響を与えます。低栄養状態になっていないか、嚥下能力に変化はないかなど、在宅で正しい栄養評価を行うことが大変重要です。普段の生活を観察することから全身状態を詳細に把握し、なにか異常があればすぐに医師に報告できるようにしましょう。

【 観察ポイント 】
■1.身体計測指標
体重は減少していないか?

減少あり → 現在の栄養摂取が不十分であることを示し、体調・体力も下り坂だと考えられます。お年寄りの場合、身体状態の個人差が大きいため、標準体重との比較よりも個人の体重の変動で比較する方が有効です。

*見た目でわかる体重減少*

体を拭いたりおむつを取り替えたりするごとに腸骨(腰骨)を観察しましょう。体重が減り栄養状態が低下すると腸骨が突出してきます。

■2.臨床的身体所見(低栄養状態の評価)
  • 皮膚の乾燥や緊張の低下はないか?

    低下あり → 脱水症状の可能性があります。

    *脱水を判断する簡単な方法*

    背中などの皮膚を指でつかんでみて、その後離してもその部位でつまんだままの形になっている場合は脱水の疑いがあります。(ハンカチーフ症候群)

  • 皮膚炎や褥瘡、潰瘍はできていないか?
  • 口角炎や舌炎はできていないか?

    できている → 鉄の欠乏により舌乳頭の萎縮が起こり、ビタミンB2の欠乏により口角炎がおこります。

  • 舌はすべすべになっていないか?

    なっている → 悪性貧血がある場合、舌がすべすべになります。

  • 爪は変形していないか?

    変形している → たんぱく質不足が考えられます。

  • 頭髪、特に毛根の状態はよいか?

    たんぱく質・エネルギー不足では毛が形態的に違ってきます。特に毛根の太さは栄養状態を反映します。

  • 貧血になっていないか?

    なっている → 鉄・たんぱく質・エネルギーの不足が考えられます。

  • 腹水、肝腫大、浮腫はないか?

    あり → 栄養性浮腫は次の3つの場合が考えられます。

    • ビタミンB1が欠乏し、しかも食事が炭水化物に偏り、脚気状態になった場合
    • たんぱく質の欠乏により体の浸透圧が低くなった場合
    • エネルギー欠乏によって起こる「飢餓浮腫」と呼ばれるもの
  • 疲労感や脱力感はないか?
  • 尿量に変化はないか?
■3.食事内容の観察
  • 食事摂取量は増えたり減ったりしていないか?
  • 食事の内容に偏りがないか?
  • 柔らかいものばかり食べていないか?
  • 水分は十分に摂取しているか?

    →脱水症状にならないように注意してあげましょう。

■4.食事場面の観察(嚥下能力の評価)
  • 食欲、食べる意欲はあるか?
  • 食べるペースが遅くなっていないか?
  • 口から食べ物がこぼれていないか?(口唇の閉鎖不良)
  • 咀嚼に時間がかかっていないか?
  • 片側に食べ物がたまっていないか?
  • いつまでも口の中に食べ物がたまっていないか?
  • 飲み込むときにあごを上げていないか?
  • 咀嚼中や飲み込んだあとにむせていないか?
  • 食後に咳が増えたり、声質が変わったりしていないか?
  • 鼻のほうに食べ物がまわっていないか?(鼻咽腔の閉鎖不全)

    *一つでも当てはまるものがある場合は、嚥下に問題があることが疑われます。医師に相談し、病院で詳しい検査をしてもらいましょう。